こんにちは。かなえ(@kanae_bidi)です。
私は2021年に双極性障害と診断されました。
この記事を公開した時点で、障害者雇用で働き始めて約1年が経とうとしています。
2024年追記:無事1年を超えました!
今日は、障害者雇用と一般雇用どちらも経験している双極性障害の当事者という立場から、「障害者雇用と一般雇用の違いは?どちらが働きやすい?」ということについて、感想をまとめてみようと思います。
以前は人材業界で求人広告の営業や、人材紹介エージェントとして働いていた経験もあり、求人や採用の内情には詳しい自負があります!ぜひご一読ください~!
目次
双極性障害、障害者雇用と一般雇用のどちらを選ぶかは「〇〇」で決まる
私は約10年間の社会人経験の中で、障害者雇用や一般雇用など、さまざまな働き方を経験しました。
雇用状況 | 診断状況 | 職種 | 雇用形態 | 勤務年数 | |
1社目 | 一般雇用 | 診断なし | 人材営業 | 正社員 | 1年 |
一般雇用(オープン) | 自律神経失調症 | センター管理者 | 正社員 | 5年 | |
2社目 | 一般雇用(クローズ) | 寛解(?) | web制作 | 契約社員 | 3年 |
障害者雇用 | 双極性障害 | web制作 | 契約社員 | 1年 |
その経験から出した結論は、障害者雇用と一般雇用のどちらを選ぶかは「何を重視して生活したいか?」で選ぶべきです。
それで判断がつかない場合は「10年後にどうありたいか?」を想像してみるといいでしょう。
考慮すべきポイント例
- ワークライフバランス
- 休日の数
- 福利厚生
- 人間関係
- 勤務地
- 勤務時間
- スキル・キャリア
- 雇用形態
- やりがい
- 給与
求人を比較する中で見るべきポイントは上記の通り様々ですが、全ての希望が叶う求人というものはゼロに等しいでしょう。
ちょっと頑張ってでも社会的地位を築きたい!(Aさん)
10年後は、家族の大黒柱として社会的地位を築いていたい。〇〇の知識を活かして△△のスキルを磨いてキャリアアップできるところに就職したい。
心身の健康を最重要視して働きたいな(Bさん)
→私は10年後も細く長く過ごしていたいから、ワークライフバランスを重視したい。
障害者雇用を選ぶかどうかは「何を重視して働きたいか?」がポイント
とにかく「働きやすさ」を重視する方は、障害者雇用を選んで損はないと思います。
ただ、仕事において「どんどんキャリアアップして上を目指して行きたい」方は、まずは一般雇用のままオープンで働けないか交渉することをおすすめします。
というのも、障害者雇用と一般雇用を比較すると、待遇やキャリアの面において決して小さくない差が生まれます。
さらに一度障害者雇用で働くと、次に転職するときに少なからずハードルが上がってしまうので、最終手段にした方が良いと感じました。
そのため、サポートやフォローの手厚さで働く上でのストレス軽減を重視する人は、障害者雇用で働く道を選んでも良いと思います。
一方で、年収や雇用形態、キャリアアップを目指す人には、まずは一般雇用のまま障害を会社に開示して(オープン就労)働く道を目指すことをおすすめします。
もしオープン就労が難しければ、そこであらためて障害者雇用を検討しても遅くないでしょう。
双極性障害で”働きやすさ”を求めるなら「障害者雇用」が勝る
では、実際に障害者雇用へシフトしてみてどの程度の働きやすさを手に入れたのか?
ここが気になるところですよね。
この記事では、①働きやすい制度の有無(ハード面)、②働きやすい合理的配慮の有無(ソフト面)で考えていきたいと思います。
私が実際に1年以上の障害者雇用として働いた経験からいうと、
- 働きやすい制度の有無(ハード面)
- 働きやすい合理的配慮の有無(ソフト面)
①働きやすい制度の有無(ハード面)では、一般雇用よりも働きやすさが増したと感じました。
②働きやすい合理的配慮の有無(ソフト面)については、正直なところ一般雇用とさほど変わらない印象を受けることが多いです。
障害者雇用:働きやすいと感じる点
具体的に、どのような点で働きやすさを感じるかというと、
体調不良や通院によるお休みが取りやすいことや、育児都合よりも短時間勤務が出来ることなどが挙げられます。
さらに、社内には有資格者のカウンセラーがおり、困りごとの相談に乗ってくれるだけでなく、就労支援機関との連携によってトラブル時にも第三者が間に入ってくれるという安心感もあります。
- 体調不良や通院で休みやすい
- 時短勤務が可能(育児都合よりも短時間)
- 社内の有資格カウンセラーへ相談できる
- 就労支援機関と連携している安心感
障害者雇用:合理的配慮について
表向きは、障害特性に配慮する意識が一般就労よりは強いと感じました。
しかし、障害者雇用とはいえ人間同士の集まりなので、実際のところは一般就労と大きな違いはありません。
配属時に、上司に障害特性への配慮事項を伝えますが実務で配慮されることは少ないです。
私の場合は、急な予定変更への苦手さや、全体像が見えないことへの不安が強いという特性があります。そのため、可能な限り前もって連絡が欲しいということや、結論から話して欲しいということを伝えていました。
しかし、残念ながら、分かりやすい配慮を受けている感覚は得られませんでした。
発達障害を持つ社員で「これは出来ません!」とハッキリ言う方がいらっしゃるのですが、私にはそこまで言う勇気がない、というのも一因だとは思います。
また、耳が聞こえない、肢体が不自由などの身体的な障害よりも、曖昧で目に見えないから配慮のしづらさもあるのではないかと考えています。
(もちろん、会社や個人にもよるとは思います)
さらに、身体障害の上司が発達障害の同僚を非難する場面に出くわしたこともあり、障害者同士とはいえども分かり合えない部分は多いと感じています。
双極性障害で”雇用条件”を重視するなら「一般雇用」
先述した通り、雇用条件に重きを置くなら一般雇用のままオープンで働けないか検討と交渉を重ねることをおすすめします。
とはいえ、実際にどのような条件で働いているのか分からないと比較検討しようがないですよね。
雇用形態
契約社員
都心だと求人数が多いですし、前職までのスキルがあれば正社員採用も可能ですが、まだまだ非正規雇用の方が多い印象です。
勤務日数
週5日、1日6時間勤務(うち1時間は休憩)
病気のことをあらかじめオープンにして働くので、短時間勤務で働けています。
体調に無理ない範囲で働くことが出来るのは、障害者雇用として採用される最大のメリットだと感じています。
年収
約100万円
正直、会社の給料だけで生活していくことは出来ません。実際に、私はここに加えて障害年金をいただいています。
給与を増やすためには、勤務時間を延ばすか、もっと時給の高い会社に転職を考えていかなければならないでしょう。
勤務場所
フルリモートの在宅勤務
会社全体がフルリモート勤務なので「自分だけが障害への配慮を受けている…」という引け目を持たずに済んでいるので気楽です。
ただ一方で、基本的にはテキストベースでのコミュニケーションを取るため、全てを文章で表現しきれず悩んだり、上司に話しかけるタイミングはリモートの方が迷いやすいと感じることがあります。
フルリモートの在宅勤務を選ぶべきか迷った時には、対面と非対面のコミュニケーションどちらにストレスを感じないのはどちらか想像してみると良いでしょう。
業種
IT系
もともと新卒で勤め始めたのは別業界の会社でした。
しかし、健康への不安や場所を問わずに働けるスキルの必要性を感じ、IT業界への転身を考えるようになり、勉強して転職しました。
転職後しばらくして双極性障害と診断されて、2社目の会社で障害者雇用に切り替えて雇ってもらっています。
まとめ
- 入社4年目
- 契約社員
- 年収120万円
- 週5日、6時間勤務(うち1時間休憩)
- フルリモート在宅勤務
- 業種はIT系
正直なところ、雇用形態は正社員、給与アップを望みたいところです。
でも現状、すでにキャパがいっぱいな状態で、フルリモートでの短時間勤務が叶えられているので一旦は良しとしています。
双極性障害で1年以上「障害者雇用」で働くための条件2つ
双極性障害を持ちながらも、私が障害者雇用での勤務を続けることができている理由について考えてみました。
その理由は、環境的な要素と内面的な要素の2つに分けられると思っています。
1つめ:環境を整える(仕事もプライベートも)
心身のコンディションを保つために、頼れるところを多く持つように心掛けています。
- 短時間勤務とフルリモートを活用
- 訪問看護で話を聞いてもらい、フィードバックを受ける
- 定期的な通院
- ベビーシッターやファミサポを利用
- しんどいときは実家を頼る
最初は「自分だけで頑張らなければいけない」と思っていましたが、子どもの母親は私しかいないので、自分が倒れないように工夫しようと思うようになりました。
良い意味でプライドを捨てて、「自分が倒れないこと」を最優先にしています。
2つめ:自己理解を深める
- 自分自身を理解すること
- その上で、どのような支援が欲しいかを相手に伝えること
- しんどい状況から全力で逃げること
障害者雇用に関わる記事を見ていると、「配慮事項を伝える」という内容をよく見かけます。
ただ、その前に自分の特徴を分かっていないとお願いすることができませんし、配慮にも限度があります。
周囲の人をコントロールすることは出来ませんが、自分の行動ならある程度コントロールすることが出来ると考えています。
「自分は曖昧な状況が苦手」ということが分かっていれば、上司からの曖昧な指示を受けたときにも、
「○○は△△ということで合っていますか?」
「明日の午前中までにやっておきますね」
と一言確認を入れやすくなって、ストレスを減らすことが出来ます。
まとめ:双極性障害で障害者雇用を選ぶかどうかは「重視する要素」で決まる
先述した通り、個人的には雇用条件を大幅に落としてまで得られるメリットはそこまで大きくないと感じました。
そのため、余地があるのであれば、一般雇用のままオープンで配慮を受けられないか検討してみるのもひとつの手です。
もちろん、体調が優れなかったり、周辺環境的に一般雇用を目指すことが難しかったりする場合もあると思います。
その場合は、無理せず堂々と障害者雇用を目指していきましょう。(私のように!)